個人再生で住宅を残せる手続き「住宅資金貸付債権」を詳しく解説

最終更新日 2019年4月8日
こんにちは。債務整理経験者のヤミキン戦士と申します。このページは現役弁護士の協力の元、精査して記事作成しております。

個人再生で住宅を残せる手続き「住宅資金貸付債権」を詳しく解説

個人再生には住宅ローン債務を除外して手続きできる住宅ローン特例という制度がありますが、この制度の対象となる住宅ローンのことを住宅資金貸付債権と言います。

 

要するに住宅を残したまま借金を減額するための大切なお約束みたいなものです。

 

ここでは住宅資金貸付債権について詳しく解説していきます。

 

住宅資金貸付債権とは

住宅資金貸付債権とは以下の条件を満たした借入金のことです。

 

住宅を新築したり、購入したり、増築したりするための資金として借入したこと

住宅の新築後、購入したものだけでなく、住宅を新築するために先行と土地だけを購入した場合も含みます。

 

また土地は所有権(物を自由に使用、処分する権利)だけでなく、借地権(建物を所有する目的で土地を借りる権利)も対象です。

 

家を買う目的で借入した資金を分割返済する定めがあること

住宅ローンは基本的に数十年単位で分割返済していくものなので、全てが対象に含まれると言っていいでしょう。

 

住宅ローンの借入金債務や保証会社の求償権を担保するために抵当権が設定されていること

抵当権とは物を借金の担保として確保しておき、返済が滞った場合、その物の価格から優先的に返済を受けられる権利で、住宅ローンを利用する場合、購入する土地や建物を担保としてこの権利を設定することになります。

 

 

カンタンにいえば借金返済が滞ると変わりに住宅売却して賃金の回収に充てますよという権利です。


 

この権利が住宅ローンの債権者にあたる銀行や保証会社に設定していればなんら問題はありませんが、住宅ローン以外にも借金があり、その抵当権が住宅についていたら「住宅資金貸付債権の特則」が認められません。

 

 

住宅を残して債務整理ができない。


 

*イメージ図

 

余談ですが、通常は抵当権は1つの債務に対して設定されるもので、その債務が返済されると消えるものです。

 

これらの抵当権者は設定登記の早いものから優先的に弁済を受けることができます。

 

なお、抵当権で担保される債務は、住宅ローンの借入金だけでなく、保証会社の求償権(住宅ローン利用者の代わりに保証会社が返済した場合、保証会社が負担義務のある住宅ローン利用者に対し、支出額を請求できる権利)も含まれます。

 

そして、「住宅資金貸付債権の特則」が入っている再生計画案が認められれば、その効力は抵当権にも及ぶとされており、これによって競売を回避することができます。

 

もし心当たりある方は弁護士に相談しましょう。

 

住宅そのものにも条件がある

また住宅ローン特例の対象となる「住宅」にも要件が定められています。

 

具体的には

 

・住宅ローンの利用者(債務者)が所有していて、なおかつ自ら所有している建物であること
・その建物の床面積の2分の1以上を居住のために使用していること

 

です。

 

ややこしいかもしれませんが、わからないことは弁護士や司法書士に遠慮なく聞きましょう。

住宅ローンは減額できない。あくまでも支払いの猶予だけ

 

住宅資金貸付債権に関する特則で認められるのはあくまでも支払いの猶予だけです。

 

住宅が確保される代わりローンの減額は一切認められず、

 

延滞中の元本、利息、遅延損害金のすべてを本来の住宅ローンの支払いに上乗せして、分割で支払うことになります。

 

しかも、個人債務者再生の申し立てに伴い、住宅資金貸付債権についても弁済が禁止されるため、再生手続き進行中は住宅ローンの返済も停止され、遅延損害金が累積していくことになります。
(一般の債権であれば、再生手続き申し立て後の損害金を払うことは考えられません)

 

 

例を挙げてみましょう。


 

たとえば、

 

残元本3000万円の住宅ローン
利息が年5%
遅延損害金が年15%と定められている
再生手続きに6ヶ月間必要

 

だとすると、

 

この間に契約通り返済していれば、利息として75万円以下の負担ですんでいたはずが、再生手続き利用により、遅延損害金として225万円を負担しなければならないことになります。(150万円以上の負担増)

 

 

このように、住宅資金貸付債権の特則を利用すると、本来の住宅ローンの支払いよりも、返済額はかなり大きくなってしまいます。


 

したがって、サラ金などのほかの債務の返済が軽減されたとしても、そもそも住宅ローン自体を契約通り払うことが困難な場合は、この特則で救済されることも困難です。

 

弁済期間を延長することで、毎月の返済額を減らす方法も考えられますが、支払い総額はそれだけ大幅に増えることになりますし、延長後の最終弁済期に70才を超えてはならないというハードルがあります。

 

いずれにしても最初から無理な住宅ローンを組んでしまった場合や、収入が当初予想より大幅に減少して今後も戻る見込みがないという場合は、

 

原則として、自己破産をして住宅を手放す以外ないということになります。

 

 

個人再生するなら弁護士か司法書士に相談されることを強くおすすめします。


住宅資金貸付債権に関する特則のポイント

 

住宅資金貸付債権に関する特則のポイントをまとめます。
専門的なことも書いてあるので、難しい場合は読み飛ばしてくださいね。


 

住宅とは個人が所有し自己の居住のように供する建物のことを言います(複数ある場合は、主として居住のように供している方に限られる)

 

住宅資金貸付債権とは、住宅の建設もしくは購入に必要な資金、または住宅の改良に必要な資金の貸し付けにかかる債権であり、分割払いの定めがあり、その債権(または保証会社の求償権)を被担保債権とする抵当権が住宅に設定されているものを言います。つまり通常の住宅ローンはほぼこれにあたります。

 

ただし、住宅に他の抵当権が設定されている場合は、利用できません。

 

例えば個人事業主は、銀行や商工ローンの根抵当権を自宅につけることがよくありますが、その場合は利用できません。また、保証会社が住宅ローンの代位弁済(肩代わり)をした日から6ヶ月以内を超えると利用できません。

 

なお、6ヶ月以内の申し立てがなされ、住宅資金特別条項を含む再生計画が認可されると、法律上代位弁済がなかったものとみなされて、元の法律関係に戻ります(俗に巻き戻しと呼ばれます)

 

申し立てに先立ち、住宅ローン債権者と協業しなければなりません。

 

住宅ローン金利の計算は複雑で、債権者の協力がなければシミュレートできませんし、住宅ローン債権者に対してあらかじめ再生計画の根回しをしておかなければ、現実にはうまくいかないからです。

 

また、申し立てにあたって提出する債権者一覧表において、必ず、住宅資金貸付債権に関する特則を利用する旨の記載をしておかなければなりません(途中で利用することに変更したり、逆に利用を辞める事に変更することは許されません)

 

住宅資金特別条項により住宅ローンの支払い猶予を受ける方法としては、以下の四つがあります。
なお支払い猶予の効果は住宅ローン連帯保証人や物上保証人(主債務者や連帯保証人ではないが、担保物を提供している人)にも及びます。

 

期限の利益回復(原則)

支払いが遅れている住宅ローンについて、期限の利益を復活させ(延滞すると一括払いになるところを元の分割条件に戻す)、本来の毎月の返済額に、過去の延滞分(元本、利息、遅延損害金の合計)を分割(原則3年最長5年払い)して上乗せし、支払う方法です。

 

延滞分の返済をしている間は、当初の契約よりも毎月の返済額が増えますし、その間は他の債務の返済も重なりますから、実際上は相当大変です。

 

弁済期間の延長

当初の契約よりも最長10年間返済期間を延長する方法です。

 

ただし、延長した分だけ発生する利息はすべて支払わなければなりません(返済総額は大幅に増加)。

 

また、延長後の最終返済時期に70才を超えてないことが必要ですし、延長後の弁済方法が当初契約におおむね沿うものでなければなりません。

 

元本の一部の一定期間支払い猶予

元本の一部の返済を、猶予期間(原則として他の債務の返済をしている3年間)の間は据え置いて、そのあとに返済する方法です。

 

この場合も、猶予期間に生じる利息はすべて返済しなければならず、当初契約よりも,返済額が大幅に増加します。

 

権利変更を受けるものの同意

住宅ローン債権者の同意さえあれば、住宅ローンの条件をどのように変更しても自由です。
もっとも、契約内容の変更に債権者が同意することは稀でしょうから、現実味はうすいといえます

 

住宅資金貸付債権の特則を利用して期限の利益が復活しても、そのあとの再生計画通りの返済ができなければ、再度期限の利益を喪失して、自宅は競売にかけられることになります。

 

以上です。

 

お疲れさまでした。

 

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