小規模個人再生と給与所得者等再生の違いをわかりやすく噛み砕いて解説

最終更新日 2019年4月8日
こんにちは。債務整理経験者のヤミキン戦士と申します。このページは現役弁護士の協力の元、精査して記事作成しております。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いをわかりやすく噛み砕いて解説

 

個人債務者再生には大きく分けて小規模個人再生と給与所得者等再生があり、さらにこれらに共通に利用できる特別なルールとして、住宅資金貸付再建に関する特則が定められています。

 

小規模個人再生とは、
将来継続または反復して収入を得る見込みのある個人が、
将来の収入から債務の一定割合を返済し、残った債務の返済を免除してもらうことで経済的な立ち直りを図る手続きです。

 

その際再生計画(民事再生手続きの中で立案する返済計画)を債権者の書面投票にかけて、反対が過半数を占めないことが必要です。

 

同様に、給与所得者等再生とは、給与所得者(サラリーマン)や、
給与に準じる定期的な収入を得る見込みのある個人(例えば、受注が一定している下請け職人)が、

 

将来の収入から債務の一定割合を返済し、残った債務の返済を免除してもらう手続きです。

 

再生計画に対する債権者の同意は不要である点に大きな特徴があり、債権者が反対していても利用できます。

 

その代わりに、再生計画においてクリアすべき条件が厳しく定められています。

 

住宅資金貸付債権に関する特則とは、個人債務者再生手続きを利用する際に、住宅ローンの支払いを一部繰り延べる特別の条項(住宅資金特別条項)を再生計画の中におり込むことで、自宅を競売にかけられることを防ぎながら再建を図るという特別のルールです。

 

あくまでも一部の繰り延べですから、住宅ローンは遅延損害金も含めて全額支払うことになります。

 

このような手続きを利用するためには、債務の総額が3000万円以内であることが必要です。(ただし、住宅資金貸付債権の金額は除く)

 

また、弁済期間は原則として3年間で(例外的に5年まで延ばせる)、3ヶ月に1回以上返済を実行しなければなりません。

 

では小規模個人再生のポイントと給与所得者等再生のポイント、そして住宅ローン債務を除外して手続きするために大切な住宅資金貸付債権に関する特則についてを説明していきます

小規模個人再生ってなあに?

 

小規模個人再生とは継続的かつ反復的に収入を得ている人を対象とした個人再生です。

 

継続的かつ反復的に収入を得ていればいいので、会社勤めをしているサラリーマンやOLだけでなく、個人事業をして収入を得ている人や派遣社員、契約社員などの非正規で働いている人も利用できます。

 

小規模個人再生の方法で手続きするためには負っている借金額が一定の範囲内におさまっている必要があります。

 

具体的には住宅ローン以外の借金が5000万円以下であることです。

 

基本的に事業で多額の負債を抱えたなどの事情がなければ、数千万円単位の借金を負いません。

 

そのため負っている借金額がオーバーして、この手続きを利用できないケースはまれでしょう。

 

個人再生の手続きをする場合、その後の返済額や返済期間など具体的に定めた「再生計画」を裁判所に認可(認めてもらうこと)してもらわなければなりません。

 

小規模個人再生の場合は全ての債権者の過半数、又は再生債権額合計の2分の1以上の反対がないことが必要です。

 

また裁判所での手続後、分割で返済していかなければならない借金の最低額も定められています。

 

具体的には民事再生法という法律で定められた最低弁済額(最低100万円)又は自己破産をした時の債権者への配当額(清算価値保障額)のどちらか多い額を返済しなければなりません。

 

例えば自己破産をすると債権者への配当金が110万円である場合、例え最低弁済額が100万円であっても、110万円返済する必要があるということです。

 

小規模個人再生のポイント

 

①継続または反復して収入を得る見込みのある個人債務者であること

 

②債務(住宅資金貸付再建を除く)の総額が3000万円を超えない場合に利用できる

 

③清算価値(破産した場合に債権者の配当に回されることになる債務者の資産を評価した金額)を超える金額を弁済するよう、再生計画を立案しなければならない

 

④法律で定められた最低弁済基準を超える金額を弁済するよう、再生計画を立案しなければならない

 

⑤再生計画では、弁済期間が原則3年間で、3ヶ月に1回以上返済するように立案しなければならない

 

⑤再生計画を書面投票にかけた結果、債権者の過半数(債権者数の過半数もしくは債権総額の過半数)が反対しなければ、裁判所が認可する

 

そして認可された再生計画通り返済を実行すれば、残りの債務は免責され、経済的な立ち直り図れることになります。

 

小規模個人再生の流れ

 

ここの解説は少し専門的なお話になるので読み飛ばしていただいてかまいません。さらっと流す程度で良いです。

 

①申し立て
債権者の住所地(事業者なら思たる営業地)の所在地を管轄する地方裁判所に、必要書類を提出して申し立てます。特に重要なのは、債務者一覧表です。

 

申し立ての際、1万円の収入印紙をはり、さらに必要経費として、数万円を裁判所へ予納します。(金額は裁判所によって違う)

 

②開始決定
法律で決められた条件に沿った申し立てであれば、裁判所は再生手続きの開始決定をします。この決定により、債務の弁済が禁止されるとともに、裁判所の許可なく借財などの一定の重大な行為をすることも禁止されます

 

③個人再生委員の選任
個人再生委員とは、債務者の財産・収入の調査や、債券の評価などについて、裁判所を補佐する機関です。

 

ただし、申し立て人に弁護士がついている場合は、原則として個人再生委員を選任しない扱いの裁判所が多いようです。

 

④債権届け出、異議申述、評価手続き
小規模個人再生では、債務者が提出した債権者一覧表通り、各債権者が債権を届け出たものとみなされます。

 

ただし債権者が債権者一覧表の記載とは異なる債権額を主張する場合には、改めて債権届け出が必要で、債権者の債権届け出に対して、債務者は異議を述べることができます。

 

債権者が異議を述べた場合、債権者は債券の評価の申し立てをすることが可能になります。

 

その際、原則として債権者は評価費用を予納しなければなりません。評価の申し立てがあると、裁判所は個人再生委員に調査した上で、債権の存否や金額などについて評価します。

 

⑤財産目録、報告書の提出
債務者は、すべての財産の価額を評価して財産目録を作成し、裁判所に提出しなければなりません。

 

また、手続き開始に至った事情、債務者の業務・財産に関する経緯及び現状などを記載した報告書を作成し、提出しなければなりません。

 

これらは債権者に開示されます。

 

⑥再生計画案の立案
債務者は、裁判所の定める期間内に再生計画案を作成して、裁判所に提出しなければなりません。

 

その際、債権者平等に扱うこと、清算価値(仮に破産したとすると予想される配当額)や最低弁済基準を超える金額を返済すること、

 

原則として3年間、3ヶ月に1回以上返済することなどが条件となります。

 

⑦書面決議
再生計画案の内容が法律に違反しているなど、一定の事由がない限り、再生計画案は債権者の書面投票にかけられます。

 

再生計画案に同意しない旨書面で回答した債権者が、債権者数の半数に満たず、かつ、同意しない旨回答した債権者の債権額が、債権総額の2分の1以下の場合は、計画案が可決されます。

 

計画案が否決された場合は、再生手続きは廃止されます。

 

⑧認可決定
計画案が可決されると、裁判所はこれを認可します。

 

認可決定が確定すると、債権の内容が再生計画に沿って変更され(債務減免)、再生手続きは終結します

 

⑨計画遂行、計画変更、ハードシップ免責、計画取り消し
債務者は、自分の責任で、再生計画通りの弁済を実行しなければなりません。きちんと実行できれば、経済的な立ち直りに成功したことになります。

 

逆に、再生計画通りきちんと弁済しない場合、債権者の申し立てにより、再生計画が取り消されることになります。

 

そうなると、再生計画により変更された債権の内容が、再び元の状態に戻ってしまい、手続きをした意味が全くなくなってしまいます。

 

個人再生したが返済できなくなったときの救済措置「ハードシップ免責」

ただし、病気や失業などのやむを得ない理由により、再生計画の実行が著しく困難となった場合、再生計画の変更を申し立て、債権者の書面決議で可決されれば、返済期限を延長してもらうことが可能とされています。(実際はそう簡単にはできませんが。。。)

 

また、再生計画の実行が著しく困難となった場合で、以下の条件をすべて満たすときは、裁判所は、債務者の申し立てにより、免責(残った債務帳消し)を決定することができます。

 

これをハードシップ免責といいます。

 

ハードシップ免責の条件

・再生計画で弁済するよう定められた債務の
4分の3以上の額の弁済を終えた事
・債権者の一般の利益に反しないこと
・再生計画を変更することが極めて困難なこと

 

給与所得者等再生手続きってなあに?

 

給与所得者等再生とは給与など安定的な収入を得ていて、なおかつ変動幅が少ない人が利用できる個人再生手続きです。

 

小規模個人再生では収入が不安定な個人事業者や非正規社員の人でも利用できますが、給与所得者等再生はサラリーマンや公務員など安定性のある仕事に就いていないと裁判所からなかなか認めてもらえません。

 

給与所得者等再生も小規模個人再生と同様、住宅ローン以外の借金が5000万円以下であることが必要とされます。

 

また手続き後、借金を分割弁済の条件や期間を定めた「再生計画」を裁判所に認可してもらわなければならないのも同じです。

 

ただ認可してもらう条件は小規模個人再生とは違います。

 

給与所得者等再生の場合、例え債権者から反対されても、それとは関係なく認可してもらうことが可能です。

 

手続きに非協力的な再生債権者がいる場合、利用条件を満たすのであれば、給与所得者等再生の方法を選択すると効果的でしょう。

 

それから手続き後の返済の最低額も小規模個人再生との違いがあります。

 

給与所得者等再生の場合は小規模個人再生の返済の最低額(最低返済額又は自己破産した時の債権者への配当額のうち多い額)と可処分所得の2年分のどちらか多い額となっています。

 

可処分所得とは、ある人の年収から生活に最低限必要な額と所得税や住民税などの税金を控除した額のことです。

 

基本的に小規模個人再生の返済の最低額より可処分所得の2年分のほうが高いので、給与所得者等再生を選択すると小規模個人再生よりも総返済額が多くなります。

 

給与所得者等再生のポイント

 

①給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みのある個人債務者である

 

②収入の変動の幅が小さいと見込まれること

 

③債務(住宅資金貸付再建を除く)の総額が5000万円を超えない場合に利用できる

 

④清算価値を超える再生計画を立案しなければならない

 

⑤最低弁済基準の金額と、2年間の可処分所得の金額のいずれか多い方を、原則として3年間で返済する再生計画を立案しなければならない

 

⑥再生計画では、弁済期間が原則3年間(例外として5年間まで)、3ヶ月に1回以上返済するように立案しなければならない

 

*可処分所得の計算方法*

 

まず過去2年分の収入総額から、所得税、住民税、社会保険料を控除し、これを2で割って、1年分の手取り収入を算出します。

 

次に手取り収入から債務者と被扶養者の最低限度の生活費(生活保護基準に準じて算出)を控除して、可処分所得を算出します

 

なお、再生計画案への債権者の同意(決議)は不要で、上記のような条件を満たしていれば、裁判所は計画を認可します。

 

つまり、債権者がどんなに強硬に反対しても、債務の減免が実現するわけで、この点に給与所得者等再生の大きな特徴があります。

 

そして、認可された再生計画通り返済を実行すれば、残りの負債は免除され、経済的な立ち直りが図られることになります。

 

給与所得者等再生の実際の手続きの流れ

 

給与所得者等再生の手続きは、小規模個人再生の手続きと相当部分重複しますので、相違点に絞って説明します。

 

①申し立て
申し立て人の資格は異なりますが、手続きのやり方は小規模個人再生と同様です。

 

ただし、給与所得者等再生の再生計画認可決定の確定の日、もしくは、破産免責決定の確定から10年間は、給与所得者等再生を申し立てることができません。

 

これは、債権者の決議を経ないまま債務が減免される手続きなので、モラルハザードを防ぐためです。

 

②開始決定

 

③個人再生委員の選任

 

④債権届け出・異議申述、評価手続き

 

⑤財産目録・報告書の提出

 

*②~⑤は小規模個人再生と同様なので説明は省きます

 

⑥再生計画案の立案
小規模個人再生において要求される再生計画案の条件(債権者平等、清算価値保障、最低弁済基準など)に加えて、2年分の可処分所得以上を原則3年で返済するように定める必要があります。

 

⑦認可決定
小規模個人再生と異なり、債権者の決議は不要(意見を聴取する機会は設けられます)であり、裁判所は、法律にのっとった再生計画案であることを確認すれば、認可決定を行います。
認可決定が確定すると、債権の内容が再生計画に沿って変更される点は、小規模個人再生と同様です

 

⑧計画遂行、計画変更、ハードシップ免責、計画取り消し
小規模個人再生と同様です。

 

以上、「小規模個人再生と給与所得者等再生をわかりやすく噛み砕いて解説」についてでした。

 

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